前和光市長の松本武洋です。
和光市政での経験を活かして、地方創生や地方自治の研究や教育を通じて世の中のお役に立つべく、教員として地方の現場を歩いています。
市政の現場は離れましたが、和光市を全力応援しています。
元ゼミ生を含む新社会人の皆さんへ~組織で働くことの価値、そしてピケティなど
テーマ:キャリア新年度を迎え、特に4月から社会に出たゼミ生の皆さんを想定していくつか注意点を書いておきたいと思います。
まず、皆さんは一旦、しっかりした組織で働くという決断をされました。
これは非常に人生にとっては有意義なことです。
もちろん、組織に属しない生き方や、自ら組織を作る生き方もありますが、仮に、将来、組織に属さない生き方や、自ら組織を作る生き方に人生の方向性を変える際にも、いちどしっかりした組織で経験を積み、組織で働くとはどのようなことか、組織で働いている人はどのように動いているのか、組織がうまく回るにはどうしたらいいのか、などということを知っておくということは必ず役に立ちます。
私も社会の様々な場面で人々を観察していて強く感じるのですが、組織で、しかもそこそこの規模の組織で働いたことがない人は、なかなか組織人としての動き方や、組織をしていくということができないように思います。それがビジネスチャンスの喪失に繋がったりもします。こちらは将来、個人事業主になったとしても、相手の組織の動き方が想像できたら、有利ですよね。実際にそこが分からない一人親方、個人事業主は成功しません。学生ベンチャーが大人のメンターを付けるとうまくいきがちなのもそういうことです。
そういう意味で、組織で働くということは、今後の人生がどう転んでも、非常に有意義な宝物になります。
もちろん、多くの方は、一旦組織で働くことを決めると、そのまま定年まで何らかの組織で所属して働いていくことが多いように思います。それはそれでいいのです。ただ、組織での経験は武器になると知っておいてください。
次に、もう一つ大事にしていただきたいのは、組織に自分の人生の全てを委ねるという生き方をしないということです。
どういうことかというと、その組織でしか生かされないスキルや、キャリアだけを積み重ねていると、万が一その組織が倒れたり、あるいはその組織を離れて生きなければならなくなったりした際にしんどい思いをします。
必ず自らのスキルを常に客観的に捉え、組織を離れたとしても、生かせるスキルが身に付くように考える必要があります。
組織に自分の人生を全て委ねるな、という意味では、もう一つ、大事なのは金銭的な備えです。
皆さんはこれから組織で働き、給料を得ます。これを全部使ってしまうこともできますが、何らかの形で資産として少しずつ蓄えておくことや、あるいは蓄える形式を変えて、自分の脳みそに蓄える、つまり自らのスキルを磨くことに投資をすることをお勧めします。
授業でも話をしましたが、トマ・ピケティの「r>g」の関係は理解し、生かしてください。労働はフローの所得を生みますが、ストックも所得を生み、ピケティの研究によると、ストックが生む所得は労働が生む所得を上回ってきた歴史があります。「お金を貯めて、増やす」ということを意識してください。うまくいけば、人生を支える補助輪になります。
あまりたくさんのことを言ってもきりがないのでここまで。
では、皆さんの社会人としてのロケットスタートを心からお祝いします。
画像の出所はプレジデントオンライン、ダイヤモンドオンライン。
地方交付税交付団体から見える景色と不交付団体から見える景色
テーマ:行政・地方自治名ばかり参与を務める一般社団法人地域から日本を変える「首長連続セミナー」で大磯の池田町長のお話をうかがいました。池田さん、めちゃくちゃわかりやすく町の財政の話を説明され、来場された皆さんの質問内容からも理解が進んだことがよくわかりました。
このセミナーに興味がおありの方はSNS等でご一報ください。
一方で、以前、やはりこのセミナーでお話をうかがった御代田町の小園町長のお話でも感じましたが、地方交付税をはじめとする地方財政制度の歪みから、交付団体の財政運営のインセンティブが、賢い首長さんほど「うまく借りる」「うまく引っ張る」「うまく集める」という方向に力点が行くようになっていて、不交付団体の財政を預かってきた身からすると矛盾を感じる、という状況です。
もとより、地方交付税交付団体にとり、行革で1億円浮かせても、地方交付税が減るだけなので、さほどメリットがないのです。一方で、充当率の高い地方債なら、もろに財源が増えます。
たとえば、防災施設という立て付けなら、庁舎の建て替えのかなりの部分を一部返済なしの緊急防災事業債によりまかなえるので、将来、もしかしたらなくなるだろうなあ、というような町村の町役場がピカピカに建て替えられています。地域によりますが、ひどいところだとこの投資は生かせず廃墟になるかもしれません。
ですから、池田町長の大磯とか小園町長の御代田の箱もの行政とは一味違うポジティブな地方債ならおそらく持続性があり、まあ、いいのだろうけれ、そういうケースばかりじゃないぞ、これは、というのが今の防災の名を借りた箱もの行政への危機意識です。ちなみに池田町長さんはこれが箱もの行政に行くと大変なことになる、と明確におっしゃられて、大磯町民は幸せだなあ、と痛感。
地方交付税交付団体から見える景色と不交付団体から見える景色はこうまで違うのですね。
いずれにせよ、あらためて考えさせられるひと時でした。
集団記憶と記念樹
テーマ:防災・防犯何年か前の3月11日に震災の記憶をとどめるための碑のことを書きましたが、人は大切な記憶を集団記憶としてとどめるために木を植えることもあります。
広島には平和大通りの被爆者の森があり、47都道府県の木が植えられています。
この「被爆者の森」には、全国の被爆者の思いが込められている、ということです。
この都道府県の樹木を見ていると、かなり樹木にかぶりがあることがわかります。和光市の木、させには都の木でもあるイチョウですが、神奈川、大阪もイチョウ。
欅といえば埼玉と思っていましたが、宮城とかぶっています。それだけたくさんの木が生えているからなのでしょうが…。
そして、そもそもイチョウは外来種なんですよね。
また、県の木ではなく、県の花が咲く木を植えているところもあります。
木は生きていて、記念碑とはまた違う感慨をもって眺めることができますが、管理も大変で費用もかかります。
被爆のことを集団記憶として後世に残すための被爆者の森なのですが、ここを四季、歩くと、四季折々の感慨とともに日本各地へのいろいろな思いが人それぞれに去来します。
学生による政治家の二十歳のころインタビュー第二幕。初回は黒岩祐治神奈川県知事です。
テーマ:ブログ前任校から取り組んできたゼミ生による「政治家の二十歳のころ」のインタビュー、前任校では西日本の首長の方々に大変お世話になりましたが、今期から舞台は首都圏です。
このたびお世話になったのは、黒岩祐治 神奈川県知事(インタビューは226事件の日)。
黒岩さんの県政キャッチコピーは「いのち輝くマグネット神奈川」。その「いのち輝く」の源は20代の経験にありました。
そして、二十歳のころ、大学の超有名サークルの仲間たちに示したとある「宣言」とは!?
そして、黒岩さんの若いころの経験か神奈川県政での取り組みに自然と収斂していく「運命」のようなものを担当の学生がどうまとめるか。
激アツのお話にゼミの学生たちも大いに盛り上がりました。
なんだかね、あまりに熱くて政治家時代の熱い思いが再燃しそうな楽しい時間でしたよ。ちゃんと消火したんで、再燃しないですけどね。
これから学生が記事作成に取り組むので、しばらくお時間をいただきますが、いつものようにネット媒体で公開しますので、お楽しみに。
小さな嘘にご用心
テーマ:ブログ昨日、某Xのスペースで出た話。
一般社会でもあるし、政治の世界ではもっとあることだが、ある人がAをA'と強弁し、いつの間にかA'をA''と強弁し、ごりごりとわめいていると、さらにいつの間にかA=A'''''''ぐらいになっていて、正反対のことをイコールである、と決めつけられていることが意外にある。だから、AとA'は同じではない、と言うべきなのだが、世間には、まさか政治家がそんなことをやるまい、という意識がある。世間は見解の相違かな、相手にも言い分があるよね、ミスでしょ、とか誤解でしょとか言いがちだが、そこを放置したのが今のめちゃくちゃな選挙事情、政治事情。
兵庫県知事選がらみでは死者も出た。
おかしいことを言う人、小さなうそを言う人に「大人の対応」は最悪の対応なんだ、とそろそろ世間が気付いてほしいところ。