ゼミの課外授業で灰塚ダムへ | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

ゼミの課外授業で灰塚ダムへ

ゼミの夏の課外講座の締めは灰塚ダム関連の学習。
江の川は、我々他地域の部外者には山陰の河川のイメージがあるが、流域としては広島県内が非常に大きい。内陸の広島を車で走ると、どこを走っても江の川流域の看板がかかっているイメージである。
そして、その主要な支流が中国山地南部・東部・北部の三方向から合流するのが三次市の中心部、という、地形的な状況が三次市の大きな災害リスク要因となっている。
市長いわく「広島に降る雨の3分の1はわが市を流れて日本海に向かいます」という状況を作っているのである。
1965年(昭和40年)には、6月~7月に江の川では二度にわたる大洪水があり、まず、土師ダムの建設が1966年(昭和41年)より開始された。
その後、1972年(昭和47年)7月には「昭和47年7月豪雨」があり、死者22名という最悪の被害を三次市等に及ぼした。
そこで、土師ダムに続く江の川水系の河川総合開発事業が計画され、1973年(昭和48年)に策定された「江の川水系工事実施基本計画」において灰塚ダムの建設が企図された。
ところが、旧三良坂町・旧吉舎町・旧総領町では猛烈な反対運動があり、事業は長期化、41年の長い年月を費やしてようやく2006年に完成した。
地元対策としては代替住宅地による補償が行われ、大規模な住宅地が開発された。今回は、三良坂町の灰塚生活再建地「のぞみが丘」を見学した。
集落を山を切り開いた大規模な造成地に丸ごと移転させ、コミュニティの維持を図る補償方式でり、地区は非常に整った街並みとなっている。
また、灰塚では、知和堰堤上流には「知和ウェットランド」が建設された。これはダム湖内に建設された知和堰堤によって形成された水域に、人工的な湿地や水辺を整備、鳥類、両生類、昆虫、水生植物が生育する環境を人工的に用意する、という一大プロジェクトであり、新たな自然環境を創造する、という興味深い事業である。
今では、国の特別天然記念物であるコウノトリも飛来し、冬にはバードウォッチングの名所となっている。
また、日本モーターサイクルスポーツ協会の認定コースにもなっている灰塚ダムトライアルパークではしばしばイベントが開催されている。
もう一つ、面白いのはダムの躯体にある展示スペースである。
ここを通るとダムの下まで行けて、ダム本体を見上げることができる。

ダムの自然環境への負荷は少なくないし、地域社会へのダメージも計り知れないわけだが、灰塚ダムで展開された一連の地域対策、環境対策はトータルパッケージとして非常に興味深く、公共分野を目指すゼミ生の絶好の教材ということで今回の見学を市長訪問と併せて企画した。
本当は、本学の学生全員を案内したいところ。
ちなみに、後期の教養科目でも毎年ここを取り上げている。
興味がある学生はどうぞ。