今日から国土交通省の脱税軽油摘発開始。でも根本解決には税制改革しかないんです。 | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

今日から国土交通省の脱税軽油摘発開始。でも根本解決には税制改革しかないんです。

放置される劇薬・硫酸ピッチ問題の元凶としての軽油税制

「硫酸ピッチ」をご存じですか。
硫酸ピッチとは、A重油と灯油などを混ぜて「違法軽油」を作ったときに出来る化合物です。
硫酸ピッチと水が混ざると亜硫酸ガスが発生することは有名ですが、そのままでも毒性が強く、皮膚に触れるとただれを引き起こすほか、目に入ると失明の恐れがあるとも言われます。

不正軽油の販売は軽油と灯油の税率の差を利用した脱税であり、問題の根本には税制の欠陥があります。
現在、軽油引取税はリットルあたり32.1円です。これは、全国的な軽油の相場が90円程度ですから、軽油代の3割以上を占めます。
業者は正規の軽油と不正軽油を混ぜて売っており、この税のうち約半分を脱税し、利ざやを抜いてユーザーに売っているようです。
ただ、不正軽油の生成過程でできる硫酸ピッチは、扱う方が不良業者ですから、当然、ヤミで処分されます。つまり、山奥にドラム缶で放置されたりするのです。

2005年4月1日から国土交通省は不正軽油規制で街頭検査を始めました。タンクから燃料を採取して検査機器にかけ、硫黄分濃度を測定するものです。
ただ、問題は街頭検査だけで十分かということです。

実は、地方税(埼玉では県税)である、軽油引取税は都道府県が意思決定をすれば、基本的には都道府県単位で減税ができます。税率を不正軽油の業者があまり儲からない水準に下げれば、この問題は解決です。

軽油の主な需要者である運送業界では不景気が続いており、人件費と燃料費という二大経費の一つを低減させようという誘引は非常に強いようですが、これだけで不正が撲滅でき、運送業者も助かります。
税源として重要なのはわかりますが、県の意思決定が待たれます。