ペットボトルリサイクルについて大いなる疑問、そして問題意識~決算委員会の質疑から | 前和光市長 松本たけひろ オフィシャルウェブサイト

ペットボトルリサイクルについて大いなる疑問、そして問題意識~決算委員会の質疑から

下記の下調べをもとに、「エネルギー収支的に仮にペットボトルリサイクルが環境に優しくないなら、この逆ザヤはドブに捨てられた税金ということになる。考え方を伺う」という質問をした。
答弁は「ペットボトルはリサイクルするというのが国全体の方向性ですので、その方向でやってまいります」だそう。


まあ、問題意識がゼロならそんな答弁だろう。事なかれ主義者もそんな答弁だろう。
ただ、この点はもっと取材して、事実関係を明らかにし、あるべき方向性を見つけるつもり。
本来ペットボトルは全量、販売店が引き取り、メーカーと共同で好きにリサイクルでも何でもすればよい。それを税金に負担させているのが大きな問題。ちなみに、それを価格転嫁されれば結局消費者がかぶる、というのが一部の政治家や官僚の論理だ。だが、これはまやかし。
あまりペットボトルを消費しないように努力し、本当に環境に優しい消費生活を目指している人間が報われなければウソだ。
あるいは、市で年間83万円かけて着火剤として使用しているA重油の変わりに相当量は燃やした方が良くはないか???(全量燃やせとまでは今のところ言っていない)
容器包装リサイクル法はジュース屋、ペットボトル屋、ポリマー屋などを儲けさせるために作られた愚法という側面があるのではないか。

ちなみに、こんなことを考える地方議員は私だけかと思ったが、新人の井上議員も似たような突っ込みを入れてくれた。新人なのに根っこをしっかり捕らえている。同じ会派の先輩として心強く思っている。


さて、どっちにしてもペットボトルリサイクルの正体が掴めない。リサイクルすることでトータル少しでも石油が節約されているのかどうか、そこが見えない。

金の回り方を見ていると少なくとも技術的にコペルニクス的な進展がない限り、金銭的な逆ザヤは解消できないだろう。

そして、世の中のあらゆるコストとは、究極的に人件費と石油代からなっている。

*ちなみにポリエチレンテレフタレート(PET)の市場価格はざっくり350-550円/Kgという(出所:喜美産業 )。

石油はキロ当たり60円弱だ。そして、下記のように和光市のような人口密集地帯の収集・結束コストがキロ90円かかっている。

収集運搬の熱量が分かればもっと分析できるのだが・・・。


で、考えれば考えるほど「捨てるよりリサイクル」で良いとは断定できなくなる。やはり、ペットボトルはなるべく使わないに限る。私の場合、一度使ったペットボトルは数回、家で沸かしたお茶を入れて使っている。(その際、きれいに洗わないと腹を壊す。)

「和光市 平成18年度ゴミ処理資料より抜粋


プラゴミ、ペットボトルの収集運搬量とコスト
1389トン 39060000円(三千九百六万円)
キロ当たり約22.3円
うち、ペットボトル収集量244トン 19530000円


ペットボトルの圧縮・結束コスト
217トン 15054039円
キロ当たり約69.4円


収集・運搬、結束コストトータル

キロ当たり約91.7円


指定法人ルート(ペットリサイクル推進協議会関係分)の処理量と処理業務コスト
81トン
836615円の収入(逆有償*)

キロ当たり約10.3円

*逆有償とは買ってもらったということ。


独自ルート(協議会を通さないもの)の処理量と処理業務コスト
3707340円の収入(逆有償)
217-81=136トン
キロ当たり約27.3円

*和光市の独自ルート分も中国(現在は香港経由となってる)などには流れていない、と役所は答弁しているのでそれを信用している。中国への輸出はゴミの輸出であり、国際条約上は疑義がある。


全ペットボトル処理コストはキロ当たり20.9円の逆有償

よって、ペットボトルの収支はキロ当たり約70.8円のマイナス


ただし、総収集量は244トン。27トンは焼却。これに焼却等単価(収集運搬除く焼却ゴミコスト)9.7円/キロをかけると261900円。これはペットボトル中何らかの理由で焼却されたゴミの収集コストを除いたコスト。これにペットボトル収集コスト(28.1円/キロ)を加えると1026000円となる。これが焼却されたペットボトルのトータルコスト。


ちなみに、焼却ゴミの場合、焼却施設運転委託費(ただし焼却施設の日常管理以外の維持管理コスト、定期点検コスト、建設コスト、クレーン点検コスト、灰成分分析コスト、ダイオキシン等検査コスト、焼却燃料費、施設光熱水費、施設清掃費除く。書面では不燃ごみ施設と分離不能な経費を含めてこれらトータルで約1000万円程度ある。これは計算に含めていない) 19609トン、123228000円(一億二千三百二十二万八千円)


可燃ごみ収集運搬109329672円
焼却灰埋め立て等コスト26133920円(二千六百十三万三千九百二十円)
焼却灰運搬コスト4936374円
不燃残渣運搬・埋め立てコスト7512613円
煤塵処理コスト 29090704円
焼却灰混入鉄運搬費 1025325円
よって上記条件による焼却コスト 約301253千円。キロ当たり約15.3円。」


なお、委員長はあまり質問をしないものなので、発言は絞っている。

正直、委員長とか議長になると議員としての責任が果たしにくくなると痛感しているところ。


追記:現在は石油価格が上昇し、純粋に金銭という意味でのコストは大きく変わっていると思います。